2016/09/13
期限の利益というものがあります。
なんのことやらと思われるかもしれません。
ちょっと話はややこしいです。
例えば、3万円借りて、2000年1月1日に1万円、2月1日に1万円、3月1日に1万円返すという約束をした場合
1月1日に1万円を払わなかったとしても、すぐさま3万円支払えと言えません。
遅れている1万円だけが支払う対象です。
これが期限の利益というので、2月1日の分はその日まで支払う必要がないというわけです。
すぐに3万円払わなくてよいということで、よさそうな話です。
ところが、これが時効を考えるとなると、ちょっと話は変わってきます。
この支払をいつ支払わないといけないかというのが、時効の起算点になるからなのです。
1月1日の分はそこから。2月1日の分はそこから時効期間が進行します。ですので時効になっていくのも毎月分ずつになってしまうわけなのです。
ところが、期限の利益の喪失条項というのが契約に入っていますと、話が変わります。
支払を遅れると、当然にすぐに全額支払わなければならないというような約束が入っていると、遅れたらすぐに全額支払う必要が出てきますが、
一方で時効の起算点もそのとき迎えるという利点があるのです。ちょっとずつ時効になるのでなく、時効を迎えれば全体が時効にかかることになります。
この条項は、銀行を除く多くの金融機関(サラ金やクレジット会社の多く)が採用しています。銀行はちょっと違う記載になっています。それはまた次回。